インタビュー③ 笑顔で相続できるように

インタビュー第3弾
小笹事務局長のお話です。

以下、他力本願.netさまのブログ引用です。



誰かが我慢をしたり、
傷つけあったりしない相続のために

「今」できることを、

笑顔相続サロン®の小笹さんにお伺いしています。

今回は、小笹さんが
「笑顔相続サロン®」で、
これから目指したいことや、
僧侶の立場だからこそできる
見守りについても教えていただきました。


ーー行政の仕事で知った
「何をしていいかわからない」人の多さ


インタビュアー(以下、「イ」):
小笹さんは計8年間、
行政で介護保険課の窓口業務や、
訪問調査員などを務めてこられたそうですが、
行政での限界みたいなものや、
今個人でやられているからこそ
できることというのはあるんでしょうか?

小笹美和さん(以下、小笹):
行政では本当に
いろんなお仕事を経験させていただいて、
たくさん勉強の機会をいただきました。
そのなかで、現在の仕事と似たような役割も務めていました。


例えば窓口業務では、
来てくださった方のお話を伺って、
課が違うと思えば適切な課にご案内したり、
地域包括支援センターに繋いだり。


イ:
前回にお話いただいた
「病院の総合窓口みたいな役割」に似ていますね。

小笹:
そうなんです。生活のお困りごとを聞いて、
必要なところに繋いでいくっていうのは
本当に今と変わりないです。
ただ専門が相続に特化しただけで。


イ:
セミナーなどは行政では行わなかった
活動ではないでしょうか?
介護保険の仕組みについての
セミナーなんかもされていますよね。

小笹:
そうですね。訪問調査員時代に、
600件近くのご家庭をまわって実感したのは、
みなさんに介護保険の仕組みが
全く伝わっていないことでした。

京都市の窓口っていうのは
比較的親切で、窓口でも説明を
させていただいているんですけど、
やっぱりたくさんの専門用語と、
たくさんの手続きで
みなさんいっぱいいっぱいに
なられるんですよね。

イ:
介護保険って複雑ですもんね。

小笹:
はい。訪問先では、専門用語ではなくて、
言い換えをしながら、
今自分がどの段階にいるのかを
一緒に確認しながら
説明してあげることが必要でした。

みなさんが窓口に来られるときって、
困ったときなんです。

「困った、困った」

って走ってこられるので、
そんな状況で説明を聞いても
ほとんど入ってこないというか。

例えば急に入院ということになって、
病院で介護保険に関する
フローチャートをもらったんだけど、
とりあえずそれを持って
窓口にやって来られるんです。

でも、既に入院をしてしまっているから、
もう選択の時間が迫ってきているんです。

入院の期間って
今どんどん短くなってきていますから、
退院したあとのことを早く決めないといけない。

「リハビリの病院を選ぶ?」
「施設に入る?」
「家に帰る?」
「有料老人ホームに入る?」

慣れない状況のなかで、
たくさんの説明を聞いて、
たくさんの選択肢のなかから
早くひとつを選ばないといけない。
そうなると、あとになってから

「あの選択で良かったんやろうか…。」

と言われる方もいらっしゃいます。


イ:
切羽詰まって物事を決めてしまうと、どうしてもね。


小笹:
そうなんです。
だから、事前に落ち着いているときに
情報をきちんと整理して、理解しておく。
そうすればいざというとき、
少しは冷静に選択ができるかもしれませんよね。
そういう意味で、
介護保険に関するセミナーも行なっています。


イ:
そういう介護保険に関するセミナーって、
お寺でやってもいいかもしれないですね。
法座の前か後にそういう時間をつくってみたり。

小笹:
事前準備をするきっかけを
作っていただけるのは良いですよね。
困ってから窓口に駆け込むという人を
少しでも減らすことができるかもしれないです。


ーー社会支援が必要な人に、僧侶ができること

⑴サインを見逃さない


イ:
こういったセミナーの機会をつくる以外でも、
お寺や僧侶が何かできることってあるでしょうか?

小笹:
お参りをされるなかで、
定期的に門徒さんの
お家に上がる機会があるんだったら、
高齢者の方の様子を見ておいて
いただくだけでも随分違うと思います。
変化のサインを見逃さないことが大切です。

今の社会問題の背景には、
横や縦のつながりが形成しづらい
という状況があると思っています。
だから、付き合いの少ない人とかだと
特に、変化に気づいてくれる人がいないんですよね。

だから、家に上がって
お話をする機会のある僧侶の方のは、
その方の体の変化、
心の変化を気にしておいてほしいです。


⑵大切なサインはこれ!


イ:
ちなみに、変化のサインは
どのようなものがありますか?

小笹:
まずは家が汚くなっていないかどうか。
ゴミがきちんと捨てられていないとか、
今まで綺麗好きだった人が
お着替えもされていない様子だとか、
っていうのはよくあるサインです。
あとは、季節に合った服装をされていないとか。

あとは、お食事をうまく召し上がる
ことができているかどうか、
お風呂に入られているかどうか。

「なんか椅子の上に服がいっぱい重ねてあるぞ」
「几帳面な人だったのに、なんか家が雑然としているぞ」
「コバエがぎょうさん飛んでいるぞ」
とかね。

あとは、「もう来ないでください」と
拒否されるのも大切なサインです。


イ:え!言われたことあります!

小笹:
家が片付いていないし、
汚れているんだけど、
綺麗にするのも億劫だから
「体の調子が悪いからやめておきます」となる。
それが、2回3回と続いていく。
これはもしかしたら変化のサインかもしれません。
できれば、そうなってしまう前に
サインに気づけると一番良いのですが。


⑶察知をしたら発信を


イ:
サインを察知したあとは、
どのような行動を取れば良いんでしょうか?

小笹:
私のようなところへ
相談していただいても良いですし、
地域包括支援センターに
繋いでいただいても良いですし、
いろんなところに
まず発信してみてもらうと良いです。

イ:
僧侶自身も、発信先をいくつか
把握しておくことが大切ですね。

小笹:
そうですね。
なにかおかしいなと思ったときに、
「おかしいね」で終わるんじゃなくて、
「誰に聞いたら良いの?」
に意識を変えていただきたいんです。

自分がどこかに発信することで、
この人は助けられるかもしれない
という発想を持っていただくというか。


イ:
なるほど。
自分にもできることがあると知っているだけで、
一歩動いてみようという気持ちにもなりますね。


ーー笑顔相続サロン®のこれから


イ:
最後に、笑顔相続サロン®で
これから実現していきたいことなど
あれば教えてください。

小笹:
笑顔相続サロン®の理念は
「笑顔相続で社会を変える!」です。

相続のときに
遺族が争うという状況を無くしていきたい。
笑顔相続にしたいというのが私の思いです。
そのために、相談するところの
わからない人の窓口になって、
サポートしていくことが
笑顔相続サロン®の役割だと思っています。


イ:ありがとうございました。



複雑化する社会制度のなかで、
自分だけでは対応することが
難しい場面が出てくる。

そのときに、どこへ行けば良いのか、
自分はどういう状況にいるのか、
事前に考えておくことが
大切だと学んだインタビューでした。

自分が当事者であること、
自分の身近な人が当事者であることを
知ることがスタートです。

「いつか」「そのうち」ではなく、
「今」だからこそできることを。